2009年 08月 28日

夏の残光、未知の川への旅。(2)

8月26日 Day5-猿ヶ石川本流、支流

遠野の道の駅を出たのはいつもよりも若干遅く、辺りが明るくなり始めてからだった。しかし遠野は山に囲まれた盆地であり、霧が出ているため日はまだ差してはいなかった。昨日の夕方に入った附馬牛周辺の猿ヶ石川には夕方に入るとして、朝に入る場所を探さなくてはならない。道の駅から少し下った辺りは川幅が広くなってはいるものの、依然として周囲を葦原に囲まれ、入川は容易ではない。丹念に辺りを見回し、ようやく入れそうな場所を発見して川へと降りた。下流には橋の橋脚付近にガンガン瀬から続く深瀬がある。そこを丹念に探ってみるも、バイトは得られなかった。

やはり少し水温が上がり始めてからの方が良いのだろうか。そう考えながら、上流にある瀬を攻めるべく歩いていくと、下ってくるときには気付かなかったが、瀬から離れた橋脚に緩やかな流れが出来ており、水深がありそうな一畳ほどのスポットを発見した。

閉伊川で本流を攻めたときもそうだが、こういったショートスポットを攻めるのは習慣のようなものである。何気なくアレキサンドラ50ヘビーをキャストし、流れに絡ませながらトゥイッチしてくると、急にロッドティップが入った。

手前で食わせたので魚体はすぐに確認できた。体側にうっすらと残るパーマークに尖った口がヤマメだと判別できる。バレるな!流れの緩やかな場所に誘導し、背中のネットを外して、確実にネットインした。

ネットに収まった魚体を見て、サイズを測らなくても尺超えであることは一目瞭然だった。ついに今シーズン発の尺ヤマメをキャッチすることが出来た感動に震えた。サイズを計測すると31センチ。今年釣ってきたどんなヤマメよりも精悍な顔つきの雄だった。

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ようやく手にした今期初となる尺ヤマメ。パーマークが残る雄の31センチ。



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この顔つき。ヤマメは尺を超えると精悍さが増す。



ヤマメをリリースした後、上流の瀬を攻めた。ここでも25センチ弱のヤマメをキャッチすることが出来た。どうやらサイズの面から言えば猿ヶ石川のポテンシャルは高そうだ。

とりあえず目標を達成した次に向かったのは猿ヶ石川の上流、山間を流れる区間だ。しかしながら渓相はよいものの、魚に出会うことはできなかった。その後支流を転々とした後、本流に流入している小河川を見つけて入っていった。この川は用水路のような感じだが、もしかしたら本流から良型のヤマメが差して来ているかも知れない。そんな期待とは裏腹に、小堰堤の下では全く反応が無かった。

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猿ヶ石川は上流へ行っても砂が多い。渓相は抜群に良いのだが・・・



堰堤の上のプールでは、ウグイと思わしき魚が群れていたので、試しにスプーンを投げて狙ってみた。バイトはするが、なかなかフッキングにまでは至らない。そこまでやる必要はなさそうだが、何気なくフックをトレブルに変えて再度キャストすると、ついにフッキングした。まあ30センチ弱ぐらいのウグイだろう。そう思っていると、何故かパーマークがある。?ヤマメか?!抜き上げて見ると紛れも無くヤマメ。しかも28センチの良型だった。さすがは岩手。こんな川にもヤマメが生息しているところが凄い。そんなことをしていると、時間はあっという間に夕方になりそうだった。

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昨日の附馬牛の区間に入ってみよう。昨日バラした魚がまた口を使うかもしれない。そう思って再び葦の迷路、砂の川へと足を踏み入れる。昨日は深瀬でヒットしただけに、その前の早瀬はあまり気を留めていなかった。が、またしても昨日と同じバイトはこの早瀬を流しているときに出た。一瞬だった。またしても掛けられなかった悔しさに、しばしうなだれた。


8月27日 Day6-閉伊川本流、小国川、薬師川、猿ヶ石川

昨日の夜のうちに閉伊川沿いの道の駅に移動していた。初日に魚影の濃かった閉伊川本流と支流を午前中に攻めてみようというわけだ。

初日、一番最初に入ったポイントを朝一で流すと、瞬く間に5,6匹のヤマメをキャッチすることができた。しかしながらサイズは今ひとつで、20センチそこそこ、といったところだろうか。早々に切り上げて今度は支流の小国川へと足を向けた。

小国川はアップストリームで釣るには少々水量があり、どうしてもヤマメが追いきれていない感があった。それでも、20センチ程度のヤマメを何匹かキャッチすることができた。次はその支流の薬師川へ。小国川との合流部から釣りをスタートすると、ここも好反応で、25センチほどのヤマメのチェイスが見られた。残念ながら、未だ慣れないキャストで、良いスポットにプレゼンテーションすることができずに、バイトまで持ち込むことはできなかった。

とにかく先に進めばもっと良い場所があるかもしれない。そう思いながら何気なく放ったミノーにバイトが。小さいがヤマメのようだ。が、寄せてきて魚体を見ると、何とも奇妙だった。魚体の形やヒレの色は完全にヤマメ。だが、背中にイワナの虫食い模様がある。珍しい。おそらくヤマメとイワナのハイブリッドだろう。

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キャッチするまでイワナなのかヤマメなのか分からなかった。いや、キャッチしてからも分からなかった。


そんなこんなでハプニング的な魚をキャッチできたが、それにしてもこの川の魚影は濃い。いかにも、といった場所からは必ずヤマメが出てくる。あと少しキャスティングの技術があれば、もっとキャッチできたと思うのだが・・・・。

閉伊川水系を午前中に回り、やはりサイズを求めるのであれば猿ヶ石に移動した方が良いのではないかと考え、再び峠を越えて遠野まで戻った。

昨日、一昨日と負け続きの区間。夕方はまたここに賭けてみよう。深瀬の手前の早瀬。ここを慎重に流す。今日こそはランディングまで持ち込みたい。が、そんな期待の裏には、既にこの瀬から移動してしまったのではないかという懸念があった。

だが、瀬の岩周りを流していたミノーに、急に「ゴンッ」とバイトした。フッキング成功。慎重にやり取りした後にネットに収めたのは25センチほどの婚姻色が出始めた雄のヤマメだった。昨日のバイトの主はこいつだろうか?まあこいつだとうことにしていた方が、納得もいくし、心残りもないというものだ。

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昨日、一昨日のバイトの正体はこの魚だったのだろうか。それにしても猿ヶ石の川底のごとく黄色い体色だ。



8月28日 Day7-猿ヶ石川

砂の川、猿ヶ石川。この川は北上川に流入する間に田瀬湖を挟み、上流側を上猿ヶ石、下流を下猿ヶ石という。最終日は下猿ヶ石を中心に見て回ることにした。

雨が降り始めていた。入るポイントを探しながら、田瀬湖を一周し、結局完全に明るくなってから鱒沢周辺から入ってみることにした。ちなみにここは田瀬湖の上流に当たる。それはそうと「鱒沢」という地名だが、おそらくはサクラマスが遡上してきて、この名前が付いたのだろう。「遠野物語」の冒頭にも出てくるところを見ると、明治時代には既にこの地名だったようだ。

ともかく、雨が降り始めでどれだけ増水するかが全く分からないので、深追いは禁物である。だがそんな心配をよそに開始直後から25センチほどのヤマメをキャッチし、幸先の良いスタートを切った。しかし雨足が強まってくると共に、水位が上がり始めてきたため、一度本流から上がった。

さて、車で下流に移動しながら、下猿ヶ石を探ってみよう。橋を渡りながら良さそうな瀬があったので、早速降りてみることにした。水位は10センチぐらいは上昇して、笹濁りで、ヤマメには最も良いコンディションだ。

ここ数日間の状況から、ヤマメは一番流速のあるガンガン瀬よりも少し緩くなったスポットでバイトしてくる。この瀬もそんなような場所にミノーをダウンクロスで入れ、探りを入れていると、ティップが入った。

何とかバラさずにランディングすると、うっすらと婚姻色の出た27センチの雄だった。この区間の魚はもう秋の魚になり始めており、パーマークの上にピンク色の婚姻色が出始めている。この魚が釣れた場所よりも少し下流に差し掛かったとき、またしてもバイトがあった。今度はデカそうである。ダウンで掛けたので慎重に寄せながら、手前で見ると、魚の他に苔がハリに掛かっていたらしく、それで大きく感じたようだった。とは言っても先程と同サイズのヤマメで、今度は雌だった。こちらももうだいぶ魚体が赤づいてきていた。

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雄の27センチ。婚姻色が出始めている。



このサイズが2本出れば満足がいく釣果といえる。だが、これだけ良いコンディションで川に入れているのだ。まだこれよりも良さそうなサイズが出てもおかしくは無い。そう期待したが、この場所では後は小さなヤマメがヒットしたのみで、場所を移動することにした。

下流の橋のたもとから川沿いに降りていける砂利道を見つけ、橋下に車を停めた。先程よりも川にアプローチはしやすいのだが、見た感じ、鮎のポイントのような平瀬が続いており、先程の場所よりも1ランク落ちそうな感じだった。それでもとりあえず流してみないことには分からない。下流に下っていくにつれて、水深が出てきて川底の岩も良さそうである。

しかし期待に反して、出そうな流心脇のたるみでは小さなヤマメのバイトすらなかった。既に濁りが入り始め、水位も上昇してきている。これより先は深く、進むのに困難をきたしそうである。下流の水面に頭を出した岩の向こうに掠めるようなトレースラインを取るべく、流心の向こうにキャストし、流れにミノーのリップを噛ませる。

ちょうどミノーが緩流帯に入った時だったと思う。ロッドティップに明らかな生命反応が伝わり、反射的にフッキングしていた。昨日、少しきつめにしたドラグが少しながらも音を出す。良さそうなサイズだ。手前まで寄せて反転する銀色の魚体を見たとき、尺ヤマメだと確信した。バラさないよう細心の注意をはかり、自分の立ち位置よりも上流に誘導する。テールフックだけが口に掛かっているので、このままローリングされればフックアウトの可能性もある。

ネットで掬う瞬間、雄のヤマメの体側に出始めた婚姻色に目を惹かれた。二本目の尺ヤマメ。今回の旅の有終の美を飾るのに相応しい一尾であった。

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本流の雄、32センチの尺ヤマメ。雨による濁りと増水がもたらした結果。



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旅の終結を飾る文句無しの一尾。円は閉じられた。




Tackle

(本流中上流)
Rod:サーフェイストゥイッチャーボロンSTS-64Si
Reel:イグジスト2506
Line:スーパートラウトアドバンスダブルクロス0.8号+リーダー1.7号
(本流中下流)
Rod:サーフェイストゥイッチャーボロンSTS-701MN-Si
Reel:トーナメントエアリティ2506
Line:スーパートラウトアドバンスダブルクロス0.8号+リーダー1.7号
(支流)
Rod:エキスパートカスタムボロンEXC-510ULX
Reel:イグジスト2004
Line:スーパートラウトアドバンスダブルクロス0.6号+リーダー1.25号

Lure:アレキサンドラ50HW,63HW,Dダイレクト,蝦夷ファーストモデル他

by pioneerfield | 2009-08-28 23:35 | ST Expedition | Trackback | Comments(1)
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Commented by 181411 at 2009-09-01 20:09
東北のポテンシャルは素晴らしいですね。尺ヤマメ、おめでとうございます。

イワナとヤマメのハイブリット…確か、カワサバとかいう呼び名があったかな?


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