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2011年 09月 10日

九月の疾走、秋ヤマメ旅へ。

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僕は思う。毎年、なんで9月はこうもあっという間に過ぎてしまうのだろう?

ひと月が30日しかないということではない。
延々と続くかと思う猛暑の8月を耐え抜いて、ようやく涼しくなってきたかと思うと、
気付くともう9月は終わりに差し掛かっていることが多いのだ。

釣りには厳しい夏を過ぎて、そろそろ秋ヤマメを釣りに出かけようかとする頃には
思いのほか残りの週末は少なくなってきていることに気付く。
そうなのだ。僕らはあんなにも美しく魚体を輝かせる秋のヤマメを釣る機会は実は少ないのだ。

書店の中でたまたま目に付いた「9月が永遠に続けば」という小説のタイトルに意味も無く共感を憶えるほど、
できれば10月が来ないで欲しいと思ってしまっていた僕は、いつもは8月の終わりに取る夏期休暇を今年は9月に取った。
ところが休みの開始を目前にして、台風12号が自転車より遅い速さで接近してきたのだ。
行き先の岩手の予報は週の前半まで雨。心配は尽きないが、逆に週の後半にチャンスが到来するかもしれないと勝手な解釈をして家を出た。


深夜の高速を花巻まで走るのも、もう何度目だろうか。
途中で土砂降りの雨にも見舞われたけれど、遠野に着いてみると雨は小降りだった。
しかしそれまでに降った雨で猿ヶ石川の本流は濁流と化していた。予想していた通りだ。
仕方なく、釣りが可能な支流を探す。どの支流も水位は増しているだろうが、
たまたま最初に入った支流では釣りができないほどの濁りではない。
釣り上がるとすぐにイワナがミノーを追った。これぐらいの濁りではイワナは活発なようだ。

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場所を変えて小型のヤマメを数匹で1日目は終了し、次の日は峠を越えて閉伊川の水系に。
ここも本流は厳しい。昨年良かった小渓流に入っていくけれど、魚はそんなに多くはないし、
型もそれほど大きくは無い。去年は25センチぐらいのヤマメが釣れたのだけれど、
川から上がって車に戻る途中で会った地元の方が話した「毎日のように人が入っている」との言葉に納得した。

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ところで、キャストが困難なほどのボサ川を釣り上がっていくと時に絶対にルアーを通せないポイントが出てくるけれど、
えてして良い魚はこういうところに入っているみたいで、何度も逃げていくのを見た。
ルアーが通せないのだから仕方がないのだが、なんだかストレスが溜まっていきそうだ。

そんなときは釣り上がるのを止めて、川を変えてみるのだけれど、次に入った川では全く魚の反応が無くて、さらにがっかりとしてしまう。
盛岡から区界峠を越えればすぐの川だし、反応が無いのは当たり前と言えば当たり前か。

夜には大移動をして、北に流れる馬淵川の様子を見に行くことにしたけれど、
次の日の朝、本流を見るとやはりここも濁っている。

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稲穂が垂れる水田の中を走る水路のような支流。ここは何とか釣りができそうだ。
両岸が護岸されていて、ロケーションは良くはないけれど、イワナとヤマメの混生域のようで、
アシの下からミノーを追って飛び出してくる。

こんな川が何本かあるので、釣りができそうな川幅の川を狙って釣り上がる。
釣れるヤマメは8寸ぐらいだけれど、もう既にうっすらと婚姻色を出し始めている個体もいる。

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次の日も似たような川を探しに行こうかと思っていたけれど、この日の夜に強い雨が降った。
翌日、車を延々走らせて支流の様子を見て回ってみるが、どこも釣りができそうな様子ではない。
夜に雫石まで走り、翌日は竜川の支流を何本か攻めてみるけれど、
半日かけてようやく20センチぐらいのヤマメが1匹、前々日に入った支流へ戻って
7寸ぐらいのヤマメが数匹と、納得いかない釣果だった。
次の日は遠野へ移動して峠を越えた先の川で釣ってみるも、たいした釣果は出ず、
濁りと増水のこの状況下での川選びの難しさを実感し始めていた。

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想像以上に辛い。行き当たりばったりで川を見ながら入って釣りをしているにせよ、
もう少しまともな釣果が出せるかと期待をしていたのだけれど、そんなに甘くはなかった。
関東に比べて釣人の少なそうな岩手だから、良い魚に出会えるかと思っていたのが完全に裏目に出た。
しかし増水後に必ずチャンスは巡ってくるはず。既に残された日程はあと二日だ。


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翌日。水位はまだ高いものの、猿ヶ石川の本流の濁りは、充分に釣りができるほどに回復していた。
2年前に初めて訪れてから、僕はこのアシに囲まれた砂の川の雰囲気が気に入っている。
本流と言えども、どうも魚が着いているのが意外にピンスポットだったりするので、
5.1フィートのロッドを使ってカバーを撃っていく。
ボサに引っ掛けてルアーをロストすることも多々あるけれど、カバーの奥から出してきたヤマメは
小さくても価値ある一尾だ。

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夕方にようやく9寸弱のヤマメを立て続けにキャッチ。
オーバーハングの下から出てきたから全体的に黒っぽい魚体をしているけれど、
婚姻色も出始めていてカッコいいヤマメだ。
ここに来てやっとまともな釣果になってきた。明日は最終日だし、せいぜい頑張って猿ヶ石川の本流を釣ってから帰ろうと思っていた。

最終日。朝一で田瀬湖より下流に入ってみたものの、濁りが取れておらず上流へ向かうことにした。
前日の気温が高かったせいか、遠野の町は濃い霧に包まれていて薄暗い。
この日は土曜なので他の釣り人も来ていそうだ。
現に入ろうとしていたポイントには先行者がいたので、別の場所に入って行くことにした。

昨日と同様、カバーを撃っていくと、オーバーハングの下から魚が出てきてミノーを食った。
サイズは8寸程度だけど、ヒットしてから何の魚か良く分からなかった。
ランディングしてみると、なんとブラウン。まさか猿ヶ石に来てブラウンを釣るとは思わなかったので思わず苦笑。

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その後、上流へ移動することにした。大きな底石が入っている場所で、水深もそこそこありそうだ。対岸のボサ下にクロスストリームでキャストし、ダウン気味に流しながら釣り下っていく。

木の枝が張り出していて、いかにもヤマメがつきそうなポイントで、そのバイトは来た。
一瞬でロッドティップが押さえ込まれ、下流で水飛沫が上がる。
水面で反転した魚体を見て確実に尺を超えているヤマメであることが分かった。
そのまま魚が下流に走ろうとした瞬間、ラインのテンションが失われた。

デカかった!あれは余裕で尺を超えていた。ラインチェックはこまめに行っているつもりだったけれど、
さっきチェックした時は結び目のみで、結び目から上のチェックを怠っていた。
フックアウトなら、掛かりが浅かったと納得するしかないけれど、ラインブレイクは魚のせいではなく、
間違いなく自分のミスだ。今回もチャンスを目前にしながら詰めが甘く、結果を手にできなかった。

あまりの魚の大きさに釣りをする気を失いかけていたけれど、最終日なのだから最後までルアーをキャストし続けようと思って、再開。
釣り逃した場所から下流を丹念に流したけれど、20センチに満たないヤマメがヒットしてくるだけだった。

車で上流に向かうか。そう思ったけれど、入渓点から上流にも大岩が何箇所か点在しているポイントが目に入った。
さっきと同様、クロスストリームでキャストし、ヘビーシンキングミノーが岩と岩との間の緩流帯に差し掛かった瞬間。
一瞬のことでほとんど憶えていないが、反射的にフッキングしていた。
さっきのように下流で魚が反転する。この川独特の白っぽい魚体に鮮やかなピンク色を浮き立たせたヤマメの姿が見えた。

手前に寄せて上流に走らせ、ネットに流し込んでランディング。

36センチ。婚姻色を浮き上がらせたパーマークの残る雄のヤマメ。
こういう魚がいて、それを育む川があるから、この釣りを終わらせたくない。

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Tackle
Rod:エキスパートカスタムボロンEXC-510ULX
Reel:カーディナル3
Line:スーパートラウトアドバンスVEP5lbs
Lure:アレキサンドラ50HW、蝦夷1st50SⅡ 他

by pioneerfield | 2011-09-10 23:19 | ST Expedition


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