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2006年 08月 12日

フリーストーン

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堰堤を越える。流れが細くなっていく。巨大な岩が前方に立ち塞がる。それをまた越えて上ってゆく。

その日の昼過ぎに入った川の上流は、今まで行った川の中で最も「源流」と呼べるものだった。自分の中にあった「源流」のイメージに近い光景、そしてちょっとした深みからも現れてルアーを追うのはイワナ。どこまで上っても、人の背ぐらいある滝を越えてもイワナはその先に居た。

その日も午前中に雨が降った。それも土砂降りだ。川は茶色く濁り、釣りができる状況ではなかったが、こんなことは前回も体験済みだ。この濁りが回復した後がチャンスだ。前回と同じ川に入るのもいいが、ここは新たなエリアを開拓しようではないか。外したときはショックが大きいが、それも釣りのうちだ。

雨が降った後だけにアブが出た。ネイビーの色の車はこんなときは最悪だ。黒い服を着ていないだけマシだが、手を何箇所か噛まれてしまった。

フリーストーン_d0000101_2314847.jpgその川の上流はまだ行った事のないエリアだ。山道を車で走り、橋の近くから入って川を上っていく。すぐに堰堤にさしかかり、そこでイワナをバラした。この先も出る魚はイワナだろう。

複雑な流れと大岩があらゆる方向からのキャストを強いられる。時にはオーバーハングした木の下や、岩の向こうの淵に正確にミノーを投げ込んでイワナを誘い出さなければならない。源流は思った以上にテクニカルなフィールドだ。二倍は難しいが面白さも二倍だ。魚は一度しかミノーを追わない。一番良い場所にルアーを落とし、ミスのないコースと正確なトゥイッチが勝負を左右する。

狙って獲ったクオリティのある一尾。当然サイズが大きい方が良いに決まっているのだが、キャストからランディングまで全てが上手くいった末に手にした一尾は価値ある魚だ。

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日が暮れると怖いので早めにその川からは上がった。帰りがけにその川の下流に入ってみたが、増水した流れからはヤマメがよく出た。どれも小さいヤマメばかりと思っていたら、20センチそこそこの幅広のヤマメがヒットして、小さいながらも格好の良い魚体にこの川の豊かさが分かった気がした。明日はもっとスローに釣ってみようと思った。

by pioneerfield | 2006-08-12 23:12 | travel sketch


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