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2006年 09月 23日

夕暮れの森

夕暮れの森_d0000101_22284133.jpg南魚沼の水田は本の少し前までは緑一色だったのが、稲穂が実り、黄金色に変わろうとしている。その日の最後に訪れた沢は、流れは細く、周りを木々に囲まれている寂しい場所だった。道路に沿って流れているものの、通る車はほとんどなく、夕闇が迫ってくる。

流れは細いが、ところどころに腰の深さ以上もある淵が緑色の水を湛えている。その淵の底から一匹、また一匹と現れるイワナの影。朝からの貧果がまるで嘘のようにミノーを追ってくるのを見ながら、はるか北の川の釣りが終幕を迎えようとしていた。

ひとつの淵で5、6尾はキャッチしただろうか。夕闇に怯えながらも引き込まれそうな緑の淵に腰まで浸かり、岩を登る。その先にも落ち込みがある。木々が張り出していてキャストもままならないが、こんなシチュエーションは散々こなし慣れている。サイドハンドでキャストし、できるだけ長い時間、魚を誘って食わせる。

夕暮れの森_d0000101_2229047.jpg出てくるイワナは20センチ前後だが、どれもが薄暗い沢を映したような体色だ。その体色が黒っぽいだけに、背中の白色や橙色の斑点がやけに印象的なのだ。このイワナを求めて、片道300キロ近い行程を何度往復しただろうか。

時間は5時をとっくに過ぎている。そろそろこの一帯も夕闇が押し寄せてくる。油断をしていると道へ上がれなくなるので、この辺で今年のこの川を終わりにするとしよう。

もう何ヶ月かすると、ここも深い雪に埋もれるに違いない。来年もその雪解け水が魚を育ててくれることを願いつつ、夕暮れの森を辞した。


Tackle
Rod:ジェイドミラーJCGS-56L
Reel:イグジスト2004
Line:スーパートラウトアドバンスサイトエディション5lbs
Lure:アレキサンドラ50S, ツインクルミュート

by pioneerfield | 2006-09-23 23:46 | travel sketch


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