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2015年 06月 30日

UWG #03 「本流、銀化探しの行方」

本流、銀化探しの行方
2013.03.30

広大な本流域で良い魚と出会うのは楽ではない。僕は良い魚を釣るのに楽をしようとは考えてはいないし、第一良い魚というものはそんなに簡単に釣れはしない。だからこそ、目標に到達するまでのプロセスを積み重ねていくのが単純に楽しいのだ。


解禁後、僕は釣行時間の大部分を狩野川本流の下流域に充てていた。下流域は中流域に比べると比較にならない程魚が少ないが、その反面釣れれば良型の銀化したアマゴやサツキマスの可能性がある。2年前から、僕はこの下流域を歩いて、地形、流速、水深などの情報を少しずつ得ていった。蓄積されてきた情報を引き出してきて、時間帯、水温を見ながらポイントに入るタイミングを変えていき、魚の反応を見る。魚からのヒントをもとに、さらにピースを組み合わせていく過程がいい。


しかし、今年はただでさえ少ない下流の魚影が去年よりもさらに少ないように思えた。バイトはおろか、チェイスすら見えない日が多い。中流域や支流に入ると時折尺上の成魚放流のアマゴが釣れたが、僕が目標としているのは精悍な顔つきと締まった魚体の銀化の尺上だ。だが、本流の水位は低く、水垢が洗い流されずに残っており状況は一向に良くならなそうだった。下流は諦めて中流を中心に釣ろうかとも考えたが、唯一、今年は鮎の遡上が早いことが僕を下流部に固執させていた。


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その日も僕は朝から下流部の瀬を攻めていた。既に桜の花は散り始めていたが、河岸には菜の花の黄色い花で春めいていた。藪の中からはウグイスが鳴き、キジの甲高い鳴き声と「ブルルッ」という羽ばたきの音が聞こえていた。


最初に入った瀬では魚は出ることは出たが、期待とは裏腹に成魚放流のアマゴだった。瀬頭から瀬尻までを一通り攻め終わり、一旦川から上がった。ここから下流にも瀬がある。過去に魚をキャッチしたことは無い場所だが、魚が着く要素はある。薮を掻き分けて瀬の上流に入り、対岸のボサ際にミノーを落としながら釣り下っていった。


その場所は、対岸側にあった流心が一旦開け、川の中央にある倒木に当たって反転流を作り出していた。水深はそれほど深くはないが流速は申し分ない。ふと僕が立っている場所から目の前を見ると、水中で鮎の群れがヒラヒラと輝いていた。


倒木の向こう側にヘビーシンキングミノーをキャストし、反転流の中を横切らせる。倒木にラインが掛からないようにティップを上げてトゥイッチを入れると、ティップが引き込まれた。


魚は流れに乗って下流へ下る。河岸のアシに突っ込まれそうになったが、自分も下流へ下り、ランディングネットに流し込んだ。


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これまで釣ってきた成魚放流のアマゴとは顔つきが違う、銀化の尺アマゴ。
一つの到達点であり、次の目標につなげるための一つのヒント。


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Tackle Data
Rod » エキスパートカスタムボロン EXC600ULX
Reel » セルテート2004CH
Line » スーパートラウトアドバンスVEP 5lbs
Leader » フロロステルス3.5X
Lure » 蝦夷50SⅡ 1st



by pioneerfield | 2015-06-30 22:47 | Play Back UWG | Trackback | Comments(0)
2015年 05月 23日

UWG #02 「彼岸の川」

彼岸の川
2012.09.22


昨年9月、禁漁間近になって現れた台風は各地に甚大な被害をもたらし、川の形を大きく変えた。
台風が去って、ぎりぎり釣りができるようになった頃に当時よく訪れていた桂川の支流へと足を運んでみたけれど、
腰上までの水深があった淵が埋まり、密集していた葦は文字通り根こそぎ流されていた。
清々しいほどに様変わりした川には、表面をヤスリで磨かれたような石が転がり、磨ぎ汁のような青白い水が流れていた。

春になって訪れた狩野川の支流も同じ状況だったようで、遡行が困難なほど生え盛っていた河岸の葦は無くなっていた。
しかし、遡行がしやすくなった反面、魚が釣れるようになったかというと、そういう訳でもなかった。
釣れるには釣れるが、20センチに満たない小型のアマゴが多く、良型は姿すら見られなかった。
密集して生える葦はアマゴの餌となる昆虫や小魚のを育み、またアマゴ自身が隠れる隙を作り出す。
葦が無くなると鳥などの外敵から狙われやすくなるだろうし、何よりも釣り人が攻めやすい分、
良型のアマゴから居なくなっていくのは火を見るより明らかだった。


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岩手への秋ヤマメ旅が終わり、9月も終盤に差し掛かろうとしていた週末に、僕は久しぶりに狩野川支流を訪れていた。
朝晩は少し肌寒くなったとは言え、温暖な伊豆の気候はまだまだ秋からは程遠かった。
しかし、河岸のいたるところには彼岸花の赤い花が目立ち、季節は徐々に進行していることが見て取れた。


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この支流も例に漏れず、釣れる魚と言えば20センチ以下のアマゴばかりで、
ところどころでそれ以上の良型の姿は見えるものの、ルアーを積極的に追う気配は見られなかった。
支流を覆っていた両岸の葦はようやく生え揃ってきて、川は元の姿を取り戻し始めていたが、結局良いアマゴを手にすることはできなかった。

一向に良型が釣れないその支流の遡行を諦め、僕は別の支流に入ってみることにした。
川沿いに走る道を歩いていると、入ろうとしていた支流の上流に釣り人の姿が見られた。
この支流に限らず、9月の残り少ない釣期を惜しんでいるかのように皆、川に繰り出していた。
入渓点の対岸には別の支流が合流している。
いつもの水位ならば対岸に渡ることすらできないが、
渇水により水位の下がった川を横切ることは容易で、僕はその支流を遡ることにした。

川幅は狭かったが、陽当たりが良いせいか両岸の葦はよく育っていて、
しばらく遡っていくと、この辺りの支流ではよく見られる小堰堤が行く手に見えた。
小堰堤の上は両岸に葦がせり出しており、川幅をさらに狭くしていたが、いかにもアマゴが付きそうな場所だった。

小堰堤の下からバルサミノーをキャストし、右岸にせり出した葦の際を通したとき、わずかに何かが触れた感じがした。
一度フックに触れたアマゴは、次のキャストで再度ルアーを食うことは殆ど無い。
こうした薄いバイトのみで釣り逃す魚が数多くいることことは確かだ。
しかし、次のキャストでミノーを再度同じコースに通すと今度はしっかりとティップが絞り込まれた。

堰堤下からキャストしていたため、堰堤の下に魚を落としてランディングネットで掬うと、
今朝まで釣ってきたアマゴとは違う良型のアマゴだった。


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尺にはわずかに満たないが、筋肉質な体躯と厳つい表情の雄。
果たしてこの魚が去年のあの大水を乗り越えて秋まで生き抜いた一尾なのかどうかは分からない。
けれど、一年という時間を掛けて、川がだんだんと生命感を増してきていることが何より嬉しかった。


Tackle Data
Rod » エキスパートカスタムボロン EXC-510ULX
Reel » カーディナル3
Line » スーパートラウトアドバンスVEP 5lbs
Leader » アクロン フロロステルス3.5X
Lure » ボウイ50S

by pioneerfield | 2015-05-23 00:04 | Play Back UWG | Trackback | Comments(4)
2015年 04月 30日

UWG #01 「長月、秋ヤマメ旅」

長月、秋ヤマメ旅
2012.09.07


9月のことは「長月」とも言うけれど、1ヶ月があっという間に終わってしまうように感じるのは僕だけではないと思う。8月が終盤に近づくと、川に立つことができる残りの回数を指折り数えるようになって、月が変われば「長月」は夏の暑さを残しながら、あっという間に過ぎ去ってしまう。

何年か前から、僕はこの時期に岩手へヤマメを釣りに行くようになった。ヤマメは別に岩手に行かなくても釣れるけれど、内陸の平野を流れるあの川で、あのヤマメが釣りたい。


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その川は、僕がこれまで訪れたどの川とも似ておらず、そして難しい。両岸のほとんどは葦に囲まれており、川底は砂と褐色の石でつくられている。本流ではあるが、銀化したヤマメは少なく、むしろ渓流のヤマメのパーマークを残した個体が多い。秋のこの時期に狙うのは、パーマークを残して婚姻色を浮き上がらせた尺上のヤマメだ。雄で鼻が落ちたヤマメならなおさらいい。

そんなヤマメは決して多くはないと思うけれど、この川は40センチを超すヤマメを育てる可能性が十分にある。去年の台風後、高かった水が収束していく中でラインを引きちぎっていった魚はそのサイズに近かったかもしれない。


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前々日の夕方に降った待望の雨は、瞬く間に川を茶褐色に濁らせ、水位を上げた。

雨が少なく過酷な夏だったのはこの岩手でも同様なようで、この雨が降るまではこの川の水はいつもより少なかった。釣れるヤマメと言えば20センチ以下ばかりで、時折良さそうなサイズがヒットしてきても揃えたように9寸だった。雨が降った次の日は濁りがまだ取れていなかったが、その日にランディングネットに収まったのは泣き尺。このヤマメに限らず、婚姻色が出ていない魚が多く、川の中はまだ夏の様相を残しているようだった。


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残り少ない日程に焦りを感じながら、水位が元に戻りつつある川を釣り下っていた。上空にはトンボが飛び交い、秋の訪れを告げていたが、川面を照らす日差しは夕方と言えども強く、少しでも影になる場所を探してミノーをキャストしていった。

陽が陰り始める頃、ここ数日間でまだ入っていない区間を下ることにした。直線になって流れた川が緩く右にカーブしており、その先は木々に囲まれて影になっている。河畔にある田圃の畦道で刈った草を燃やした煙が川面にわずかに立ちこめ、木々の隙間から漏れた光の筋を浮かび上がらせていた。

緩くカーブした先は広がった流れが絞られている。勢いを増した水は川底を掘り、茶色をした深場を作り出していた。流心の流速はありそうだが、流心から外れた右岸側の流れは緩い。ロッドの先のミノーはヘビーシンキングミノーにチェンジしてある。流れの緩い右岸側に着水させ、少し沈めてラインを流心に噛ませた。

数回のトゥイッチを入れた直後、ロッドティップが絞り込まれた。流心から離れた銀鱗はヤマメには違いないが、昨日まで釣ってきたサイズよりも明らかに良かった。ミノーのテールにつけたシングルフックがガッチリと刺さっているので、慎重に寄せてランディングネットに流し込んだ。


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今回の秋ヤマメ旅で手にした雄の尺上。32センチでは驚くほど大きなヤマメとは言えないけれど、厳つい表情と、わずかに浮かび上がった婚姻色が印象的だった一尾。

ようやく今年もこの川の、このヤマメに出会えた。

さらば、また来年!



Tackle Data
Rod » エキスパートカスタム EXC-560ULX
Reel » カーディナル3
Line » スーパートラウトアドバンス5lbs
Leader » アクロン フロロステルス3.5X
Lure » アレキサンドラ50HW

by pioneerfield | 2015-04-30 22:20 | Play Back UWG | Trackback | Comments(6)