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2008年 08月 09日

真夏の渓へ

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今年の夏は特に蒸し暑い。こう暑いと平地の川やダム湖のバス釣りもしんどくなってきて、しまいには体調を崩して2週間ほど釣りに行けない週末が続いていた。

失った体力と気力も戻りつつあった日、昨年まで自分が暑さから逃れるためにしていたことをようやく思い出した。そうだった、夏に渓に釣りに行くのは、日中の強い日差しとうだるような熱気から逃れるためだったのではなかったのか。川から上がって、夕刻の林道を車まで戻るときのあの感覚を忘れたのか。

そして週末、最新機種ではないがようやく手に入れたデジタル一眼レフを持って、中央分水嶺を越えた越後の川へと車を走らせた。

もう何日も前から入る川は決めていた。夜が明ける前に橋の近くに車を停めて、準備をして周囲が明るくなるのを待つ。ここから上流の1キロは深い森に包まれて入渓する場所もないため、焦る必要はない。自分のペースで遡っていくことができる。

軽く朝食をとっていると、前方から一台の車が来て、挨拶を交わす。彼らは車止めから上流に入りたいとのことだったので、特に断る理由もないので快諾した。何も川は自分だけのものではない。お互いが気に入った流域で満足のできる釣りができればそれでいいのだ。

藪を掻き分けて細沢から川へ降りる。久しぶりの釣りなので2、3投キャストの練習をしてからイワナが好みそうな流れのたるみにミノーを通すと、いきなり魚が追った。

20センチ足らずのイワナだったが、突然のヒットが嬉しかった。久しぶりにイワナを見るとあらためてその色彩の多彩さに見入ってしまう。特にこの川のイワナは白とオレンジの斑点がくっきりとして美しい。深い森と清冽な雪解け水が彼らを育んでいるのだろう。

さらに上って行くと堰堤があり、その下にはイワナが留まっていた。さすがに朝の良い時間だけあって、魚は果敢にミノーを追い、ヒットはするのだが、残念ながらバレてしまう。つい夢中になって、躍起になってしまうのだが、ふと「キャッチできなくても良いではないか」とも思ってしまう。これだけ魚が豊富な川でロッドが振れることが何よりも愉しかった。

堰堤を越えるとしばらくは人工物のない渓相美の中を登っていく。ところどころでミノーを追うイワナの姿があり、時には魚を手にし、時には手前でバラしたりと、一喜一憂する早朝であった。そんな中で、時々立ち止まって、防水バッグから一眼レフを取り出して渓をカメラに収める。過去に使っていたAPSの一眼レフの感覚をもとに、試行錯誤しながら撮影していく。自分の渓流の釣りにまた一つ楽しみが加わったようだ。

デジタル一眼レフを手にしたのは、今回の釣行を思い立ってからすぐのことだった。海沿いのうだるような熱気の中での生活をする中で、ふと美しい渓流の風景を撮りたい、綺麗な魚を見たままに近い色で写真に残したい、という感覚が直感的に沸いてきて、ちょうどI君が使っている機種と同じものが安く手に入ったのだ。

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日差しは強いが広葉樹林帯がそれを和らげる。不思議と心地よいのだ。


朝の5時から釣り始めて、車止めに直結する林道にさしかかったのは午前9時をまわっていた。既に日は高くなり、いかに山と言えども強い日差しが照りつけている。別の川へ行こう。しかし、標高があって全体的に日陰になっている川は限られている。そうした日陰を求めて、今まで足を伸ばしたことのない川へも行ってみたが、既に先行する釣り人がいたり、アブが出ていたりで竿を出さずじまいだった。

午後になり、さらに日差しが照りつけるようになっていたが、駄目元で比較的開けている支流へと足を運んだ。日の当たっている部分には見切りをつけて、日陰の部分を狙ってミノーをキャストしていく。と、いかにも、といった落ち込みで20センチ足らずのヤマメがヒットした。朝からイワナしか釣っていなかったので、このヤマメは正直嬉しい一尾である。この川はヤマメの魚影が濃いのだろうか。そう思いきや、続いてヒットしたのはイワナ。決して大きくはないが、本日キャッチした中では良い方だ。写真を撮ってリリースすると、そそくさと流れに帰っていった。

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稚魚から育った魚らしく、美しいのだが、大水の影響だろうか、痩せた魚体だった。


この川の流域では、数日前に集中豪雨があったらしく、ところどころで川辺の草がなぎ倒されていたり、河岸の潅木が根っこごと流されていたりと今まで見たことのないような光景を目にした。特に驚愕したのは、この川の支流であった。ところどころ護岸がえぐられ、大岩が露出している。初めて来た川だったので以前の渓相は知らないが、おそらくは大きく変わってしまったのだろうが、少し進むと、堰堤の残骸が横たわり、近くには小屋ほどもある大岩が転げ落ちていた。

d0000101_22364077.jpg堰堤が崩壊するほどの大雨と増水とはどんなものなのだろうか。そんなときに魚はどこにいたのだろうか。流されてしまってはいないのか。そんな心配をよそに、ごくごく普通の場所からイワナがミノーを追った。

「川は生きている」そんな言葉を頭の中で連呼していた。





d0000101_2238193.jpgTackleRod:サーフェイストゥイッチャーSTS-501Si, トラディションSTver.
Reel:イグジスト2004
Line:シルバースレッドアイキャッチPE0.6号+フロロカーボン3lbs
Lure:SKミノー50SD,バフェットSD43,ノール・ポワン50S

by pioneerfield | 2008-08-09 23:03 | travel sketch | Trackback | Comments(5)