2010年 03月 13日

狩の日

僕らが趣味としている釣りという遊びには、緊張感がつきものである。そして緊張感の後には、ときどき悦びがあり、大抵は落胆がある。だから釣りは面白いと言ってしまえばそれまでなのだが、どうせ休みを1日使って釣りに行くならせめて幸福感を味わいたいと思うのが普通の釣り人の感情だ。

その日、南風がとても強く、ルアーをキャストしても8割の確率で狙ったスポットに入れることが出来ない日に狩野川のある支流を訪れていた。かつて、解禁直後といえば桂川オンリーだった自分が注目していたのが、一昨年からルアーが解禁になった伊豆の狩野川だった。

一昨年も春のこの時期に何回か行ったことはあるのだが、小さなアマゴしか釣れずに足が遠のいていたた。今回も不安はあったのだが、ロケーションの良い里川で、のんびりと釣りをしたくなり、桂ではなく、こっちを選んだのだ。と、いうよりも、どうやら今年は狩野川の調子が良さそうだという噂を聞きつけて、行ってみることにしたのだ。

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これは冬を越した魚かもしれない。サイズはともかく幅広の良い魚だった。



魚の反応の薄い本流を避け、支流に入った。少し広めの川を上っていくと、堰堤に差し当たった。ふと下流を見るとフライの釣り人が上ってくるのが見えたので、そこから上流は彼に譲って自分は下流へ下ることにした。すれ違うときに挨拶を交わして、彼が叩いてきただろう水深のある淵にミノーを通してみることにした。そう考えたのは、彼がドライフライの釣りをしていたからだ。ディープダイバーを潜らせればフライには反応しなかった魚が獲れるかもしれない。

その予測どおり、数投目に放ったDダイレクトに、8寸強のアマゴが喰った。サイズはそこそこだが、放流魚ではないらしく、幅広の良い魚体だった。これは幸先が良いとばかりに同じ淵に続けて探りを入れる。そしてさらに数投後、重々しいバイトとともに巨大な魚が体をくねらすのが見えた。

「!デカい!!」

魚の色は茶色がかり、白い斑点のようなものが見て取れた。まさかイワナがヒットしたというのか?!狩野川の水系にはイワナはいないはずだが。いやいや、一昨年来た時に釣っているじゃないか。しかしこんなサイズのイワナが・・・・。30センチや40センチどころではない魚とのやり取りに緊張感が走る。

しかし水面に浮いてきた魚体をもう一度よく確認すると・・・・アブラビレがない。代わりに口髭がある。浅い場所へズリ上げると、そのニゴイは鱒とは違っておとなしかった。56センチ。やっぱりこのサイズのイワナは狩野川にはいかなった。

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こうして撮ると迫力が増すね。アブラビレはないけれど。



その落胆も覚めやらぬままに、下流の淵を攻めてみる。今度は小さいながらもアマゴが釣れてくるので、やはりフライで叩かれた後でも魚は出るようである。白泡の真下にはまだ魚は入っていないようで、少し流心をきったあたりでのバイトが多い。ディープダイバーを潜らせて、細かいトゥイッチを掛けていき、そろそろピックアップというそのとき、今度は明らかにトラウトのシルエットの魚がミノーを追った。そのサイズ、裕に尺は越えている。

魚はミノーには触れていない。しかし一度追った魚がまた追うかどうかは分からない。次のキャストが緊張のしどころである。アップクロスに投げてもう一度潜らせて、流心を切った瞬間・・・・ロッドティップが「ドンッ!」と入って、そしてテンションが抜けた。

バイトの感じからしてさっき追ってきた魚だろう。ミノーに触れてしまった魚はこれ以上追う事はない。またしても落胆。このあたりでリズムが崩れ始めてきたので、上流へと移動することにした。

上流に行くと、堰堤続きで川幅は狭まっていた。ロッドも6.4フィートから5.1に持ち替えて、カーディナルをセットした。先週からこのカーディナルを使うのが楽しいのだ。ラインはナイロンを巻いている。アップストリームでピンスポットに入れていく釣りで、午前中に崩れたリズムを取り戻そうというわけである。

入渓してすぐの堰堤で魚の反応があった。20センチ程度のアマゴだろう。追っては来たがバイトはしなかった。堰堤を越えて上流に行くにつれて、魚の反応も良くなってくるのだが、どうもラインがナイロンであるせいか、感覚がマイルドになってしまっている。そこであらかじめ替えスプールに巻いてきたPEに変えてみることにした。ちなみにカーディナルのスプールは薄いのでベストのポケットに入れていてもかさばらないのが良い。

PEに変えてから、感覚が元に戻り、魚もそこそこ釣れるようになって来た。リールを変えたせいなのか、タラシの長さを変えたせいなのか分からないが、キャストも以前よりは決まるようになってきている。とは言ってもまだまだ10投中5投ぐらいしか良いスポットに入らないのだが。


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普段はヤマメの川ばかり行っているので、朱点が鮮やかなこうした魚に出会えるとサイズを越えた嬉しさがある。



投げ方も去年とは変えている。サイドハンドもアンダー気味に振るようにし、苦手だったバックハンドも使うようにしている。慣れるまでは全然キャストが決まらないが、苦手だからといってやらなければ一生出来ないだろう。何事もトライ&エラーが肝心である。

ある堰堤を越えると、とたんに魚の反応が良くなった。追ってきた魚のサイズを見ると、結構サイズは良さそうである。何度か同じコースを通して、とうとう食わせることに成功したのだが、またしてもバラしてしまった。さすがにバラした後に同じポイントで喰ってくるとは思わないが、なんとなく同じコースを通してしまう。

すると意外にももう一匹追ってきた魚が食った。狭い川で食わせたにもかかわらず、サイズは結構良いみたいだ。一気に緊張感が走る。慎重に寄せてネットインすると、一瞬ニジマスかと思ったが、アマゴだった。これは尺に届いたか?!

が、よくよく見てみるとアマゴはアマゴだが、成魚放流の魚らしい。これにはまたしても落胆である。一応サイズを測ってみると、ジャスト30センチ。一尺とは30.3センチのことを指すので、これはぎりぎりで泣き尺である。


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ジャスト30センチの泣き尺。この区間には27、8ぐらいの魚が多く放流されていたようだ。シーズンの始めから放流する魚が大きいな、狩野川漁協は。



春の嵐の日、緊張感と落胆とが交互にやって来た狩野川の支流での出来事だった。支流に入っても風は容赦なく吹いてきて、キャストを邪魔していた。上流から花びらが流れてくると思ったら、河津桜が土手の上に咲いていた。そうだった、これを見ながら釣りがしたいと思ったのもここに来た理由の一つだったな。


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一足先に花見の季節が来ているようだ。なんだかんだ言ってもこういう木が河畔にある里川は良いね。



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川辺にも河津桜の花びらが流れ着いていた。ヤマメやアマゴと一緒にフレームに入れると何故だかしっくりくる。


Tackle

(本流)
Rod:サーフェイストゥイッチャーボロンSTS-64Si
Reel:イグジスト2506
Line:スーパートラウトアドバンスダブルクロス0.8号+リーダー1.7号

(支流)
Rod:エキスパートカスタムボロンEXC-510ULX
Reel:カーディナル3
Line:スーパートラウトアドバンスVEP5lb
    スーパートラウトアドバンスダブルクロス0.8号+リーダー1.25号


Lure:アレキサンドラ50S,50HW,Dダイレクト,蝦夷ファーストモデル

by pioneerfield | 2010-03-13 23:36 | travel sketch | Trackback | Comments(0)
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